6月に入ってから、カネカの育休に関する問題が炎上しています。
すでにご存知の方も多いでしょう。
これまでの経緯がまとまったページはこちら。
詳細をご存じない方は、ざっとで構わないのでご覧くださいね。
カネカの炎上騒動で考える、炎上時の弁護士的対応が燃料投下になる理由
さて、世間的には様々な意見があるこの騒動。
働き方についてはとても興味を持っているので、私が感じたことを書いていきますね。
そもそも「問題点」は、どこにあったのか?
カネカ側と退職した元社員さんとその奥様。
双方にはそれぞれの主張がありました。
どちらを読んでも「確かにそうだよね」と、私は考えます。
子どもが生まれて間もなく、自宅を新築したのに遠方への転勤辞令が出たのは納得できない。
転勤は以前より予定されており、育児休業とは無関係で問題はない。
並べてみると、お互いの主張には大きな違いがあります。
ただ、問題があったからこそ騒ぎになったのであり、その原因は必ずあります。
複雑に見えていますが、そもそもの問題点はただひとつ。
それは「認識の違い」です。
企業にとって「社員」はどのような存在なのか?
まずは、カネカ側の認識から。
一言でまとめると、カネカの認識は
社員は「駒」に過ぎない
なのだろうな、と。
私がお伝えしたいのは、会社全体の利益を取るのであれば、ひとりひとりの事情を汲み取るのは難しいということ。
なので、「人を見ない」という意味合いで「駒」と表現しました。
この発想、実は会社の経営者や人事に関するお仕事をしたことがある方にとっては、ごく普通のもの。
ですが、これらの経験がない方にとっては、まったく理解されない・できない可能性があります。
社員にとって「雇用先の会社」とは何なのか?
では、もう一方の登場人物である退職した元社員さんご夫妻については、どうでしょう?
日経ビジネスさんに記事があるので、まずはそちらを。
「育休復帰、即転勤」で炎上、カネカ元社員と妻を直撃
この記事を読んでみて、私が率直に思ったことは
リスクに対する備えがなさすぎる
です。
子どもが生まれて間もない、家を新築する。
人生でそう何回も経験しない、人生の一大イベントが立て続けに起きた。
にもかかわらず「ご主人、退職を選ぶのね」と。
会社員にとって、自分が雇用されている企業とは「生命線」とも言える存在。
最近では自分で仕事を得る、いわゆる独立・起業が少しずつ市民権を得ていますが、まだまだ少数派。
「気軽に選べる」とは、とうてい言えません。
お子さまは授かりものですし、自宅の新築も長期間の計画を練った上で実行すること。
時期が重なったのは、仕方のないことかもしれません。
でも、「いつ退職するのか?」は、選べます。
もうひとつ言うと「誰が退職するのか?」も、選べます。
なぜ「ご主人が転勤し、奥様は復職しない」を選ばなかったのか、私には疑問でしかありません。
住宅ローンの問題があったのかもしれませんが、それこそが「リスクに対する備えがない」なので。
自分と相手は違うという「当たり前」に立ち返る
カネカを取り巻くこの騒動。
これを見て私が思うのは、「リスクに対する備えは必要だよね」ということ。
私自身のこれまでの歩みを振り返ると
- 主人ひとりのお給料で食べていけるようにするため、結婚した時点で退職を視野に入れる
- 子どもが小さい時は子育てに専念できるよう、自分は働かない
- 何かがあった時に助けを求められるよう、双方の実家の近くに自宅を持つ
- 専業主婦で時間がある時に、次のステージに備えて家事の効率化を済ませてスキルアップに励む
- 子どもの手が離れても主人と同じ会社員という立場ではなく、フリーランスとして働く
と、「これでもか!」というくらい、リスクに対して万全の備えをしてきました。
そして、詳しくは書きませんが、企業側も雇用している社員に対するリスク管理は必要です。
ごく普通の対応だと私は思いますが、今回の相手であるご夫妻の反応は分からないですから。
いろいろと書きましたが、結論は
企業も従業員も、相手のことをより深く理解しよう!
です。
当たり前のことではありますが、この視点がどちらか片方だけでも持っていれば、結果は違っていたはず。
「人の振り見て我が振り直せ」だと考えて、私たちも相手を理解するように心がけたいですね。
関連記事
最後に、ちょっと余談を。
最近の企業は「嫁対策」「SNS対策」をきっちりしないと、とんでもないことになるのですね。
自分の会社を持つ身として、ちょっとだけ(ちょっとだけですよ!)「カネカさん、お気の毒に…」とも思ってます(苦笑)